■ 2004年 8月3日(火)

 電子政府・電子自治体戦略会議にて


 先進概念、活動に触れて・・・・感じたこと
 


 年1度の「電子政府・電子自治体戦略会議」が8月2日、3日の2日間,日経主催,後援が総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省というまさにe-JAPAN計画の広報機会として開催された。麻生総務大臣の基調講演があることも手伝ってか大人気で、抽選により参加できたセッションの様子と感想を少々報告します。
 

 

 

「住民参加の電子自治体」での野村氏(中央)と畔上氏(左端)

 参加できたセッションのキーワードは、「IT調達の改革」「住民参加の電子自治体」「E A」である。ひとつづつトピックスなどひろってみたい。
●自治体によるシステム調達の改革に向けて  大山委員長(東工大院教授)
 石川氏(高知県)廣川氏(横須賀市)芝氏(神戸市)でいずれも大山委員長がコーディネートする「情報システム調達モデル研究会」の諸氏によるパネルディスカッションで、IT調達ガイドブック、電子自治体どこまで、どんな優先順位でやるべきか、レガシーシステムリプレース問題、地元ソフト企業の採用などが話しあわれた。
 問題提起という点で、電子自治体をどこまでやればよいのかに対し、住民、議員からの声がないなかで、合併特需とでもいおうか多額の投資が継続されている。なにか空虚な本質を除いた電子自治体政策の一面を感じざるを得なかった。

●住民参加による電子自治体の推進       畔上文昭氏(e−GOV編集長)
 小野氏(会津坂下町)、野村氏(富山、福光町)、柳田氏(南房総)各氏の地元での住民主体の地域づくりの紹介から、電子自治体のあるべき姿を探ろうとするセッションである。
この中で郷里富山でもある野村氏とは以前から交流があり注目していた。住民満足度をいち早く取り入れた町政の中で、町全体が家族のように(ナレッジコミュニティ)、それぞれの立場で町を外向けに公告(情報アカンタビリティ)を目標に、http://www.e-fuku3.comを企画・運営している。野村氏の人柄による明るくバイタリティのある活動である。(因みに数多く講演もしてきているのでしゃべりも絶好調であった。
 また、司会の畔上氏は前雑誌編集長の時代に面識があり、編集の締めまじかなのかややお疲れモードのように見受けたが適格な視点の切り込みを賞賛したい。
どの講演メンバー、さらにその他の地域活動を牽引し半歩先の夢を実現している人の共通点は「その町がまず好きなところ」を感じた。

●エンタープライズアーキテクチュアー(EA)の本質を探る  須藤委員長(東大院教授)
 曽我氏(総務庁CIO補佐官)、牧内氏(経済産業省)、溝江氏(福岡県)によるEAに対する見解を示すセッションである。中央省庁を中心に各自治体電子化推進のフレームワークと持て囃されている昨今である。全体最適、長期視点などを継続性、制度改革、意識改革、IT産業育成等壮大な課題を4層レイアーで整理しようとしているかのように映り、電子自治体を進めることが目的となっているようにEAを理解し展開することが最終目標になっていることに大きな警鐘を鳴らしたい。
そういう点で、溝江氏の冷静な取組みに賛同した。


 まぐれもなく国内トップメンバークラスによる講演であったが、なぜかすっきりした物が見えず私達が地道に進めている長野県庁での活動の方がよほど実効的で意義ある活動ではないかと感じさせたのは何故であろうか。 電子自治体の顧客が誰で冷静かつ将来を見据えた意思を持ちたいと考えた次第である。
 

-P.13-

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