■ 2003年8月8日(木)

  住民基本台帳の推進に想う


  不破長野県本人確認情報保護審議会委員長への賞賛と夢の実現に向けて
 


  長野県では、住民基本台帳ネットワークの推進に当たり、総務庁が指示している県本人確認情報保護審議会(不破委員長:信州大学大学院教授)をつくり、緊急報告として2003.5.28に中間まとめを策定し提出した。

主旨は、県内120の自治体における住基ネットの実態を調査した結果
@住基ネットシステムが庁内LAN、庁内基幹システムシステムと同居し、インターネットに接続されている自治体が12あり、情報流出の恐れがある。
A住基ネットの仕組みに対して、首長は殆ど理解しておらず、担当職員任せになっている。
B住民や自治体にとってメリットが少なく、コスト面の負担が大きい。
Cこのため、まずは県民の個人情報保護の観点から、当面、住基ネットから離脱すべきである。
と報告された。
 この結果、多くの波紋をきたした。私は、極めてこの動きを歓迎する。また、不破委員長の「技術論」「法律論」からの活動・意見に対して、正しい姿勢であり報告であると思う。また、数度に渡る県民への理解を高める機会設定努力も評価したい。ただし、これを受けて、政府が県民・住民が自治体が、IT国家となるべき乗り越えなければならない大きな「社会問題」「教育問題」のステップにあることを理解していないことが今最大の問題ではないかと思う。

 情報化推進、プロジェクトマネジメントの観点から、いくつもの低レベルで初歩的な失敗をしている。それは
@住基ネットの持つ次世代の可能性を自治体、住民が夢として共通ビジョンを共有し   
 ていない。
A「自治事務」の範囲が本来の夢の部分であるにも関わらず、総務庁と自治体の軋
 轢、溝がこの問題にも現れており、停滞化の原因・しこりを作ってしまった。
B各自治体が自力で「住民本位」のための住民サービスを現状の「住民票」「パスポ
 ート」レベルでしか企画できないビジョン策定能力のなさを露呈している。
CITサプライ側も従来の政府・自治体ビジネスの延長で、ICカード提供、セキュ
 リティ投資でただ稼ごうとしている。(調達マネジメントの欠落)
である。

 自分であればもっと円滑にいい展開ができるのではとの気にもなってしまう。ただ外野席の声とならないために、今私は地域社会貢献という当社ドメインの側面から、地元塩尻市のワーキンググループで「直接住民投票条例の策定」に参加中、またこれから「地域福祉計画策定」 にノーフィーで参加する。非力ではあるが、住基カード、住基システムともうまく適合した住民本位のビジョンつくりに貢献してみたい。
 

                                村田

-P.8-

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